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気が向いたら感想

タンテイセブン感想

2017年6月30日にDigital Cuteから発売されたアダルトゲーム、タンテイセブンの感想です。

主人公の比婆蛮悟その他が、超常現象研究会を立ち上げたい幼馴染・かすみに振り回されいろんな事件に首を突っ込んでいく話……のはずだったんですが、ほぼメシの話でした。
蛮悟は大食漢、かすみは定食屋の娘ということで餌付けの風景をこれでもかと見せられます。
メインストーリーはなかなか進まないのにそういうメシネタをはじめとする閑話があまりにも多く、そのくせライマックスは駆け足だからバランスが悪い。

主人公たちは異能と呼ばれる不思議な力を持っているんですが、一部を除いてほとんど活躍しません。
零士の「手掛かりが揃うと過程をすっとばして結論を得る」能力なんて、明らかに手掛かりが揃ってないのに結論を得ている場面がちらほら。
過程はわからないのがミソだし、扱い方次第でいくらでもおもしろくなったはずなのにな~ 一番期待していただけに惜しい……
……ふと公式見てみたら「手掛かりが揃うと」とは書いてなくて焦りましたが、本編での様子を見るにそういう九十九十九的能力のはずです。

あとわかりやすい特徴としてセリフに絵文字が多い。特にハートマークは老若男女問わず多用しまくってるので最初は面食らいます。
私はだんだん慣れたけど、無理な人は無理だと思う。
つでに誤字も多い。

そもそも発売後3日間は進行不能バグで4章以降進めなかったり、20日目に出たパッチでやっとシナリオが出揃ったり、売り物レベルになるまでかなり時間がかかりました。
ガバガバなフラグ管理は治ったのかな?これからやるならそれなりに遊べると思いますが、あまり人におすすめできるゲームではない。
公式サイトに書かれてる「できる」「ある」は基本「できない」し「ない」と思っといたほうがいいです。
プレイヤー自ら証拠を集めて論破するゲームがしたかったら大人しく逆転裁判なりダンガンロンパなりを買えってことですね。もうすぐ大逆転2も出るし。
システムの不満はみんな触れる点だと思うので、私からは控えめに。エロスケとか見るといいです。

だいだい普段ゲームの感想なんてまったく書かない私がどうしてこんなこと始めたかというと、常々女オタクのエロゲ感想もっと読みたいな~と思ってたところにホモセックスありのゲームを引いてしまったからですよ。
そこに感想のリソースを割けるのは女、というか腐女子。新作で感想の数もまだ少ないし筆を執るなら今かな、みたいな。
そんなわけで、いち女オタクとして、腐女子としての個人的な感想を述べていこうと思います。

まず聞いて欲しいの、蛮悟がじわじわムカついてくる。
最初はかっこいいな~って思ってたんですよ。
体力バカのフィジカルエリートなところ、ガラス職人見習いなところ、人力車のバイトで学生のくせして結構稼いでて固定資産税払ってるところとかね。
でもだんだん違和感が。

蛮悟の異能は「他人の感情の視覚化」。感情の種類が具体的にわかるんじゃなくて、色のついたオーラとして見える。
役割としては逆転裁判のサイコロックみたいなものかな?思考の担保になるものというか。

蛮悟は最初の頃、自分の異能を周りに隠してるから、異能を根拠とした意見をみんなと共有するにはフォローが必要になるのにそれをしないんですよ。
理由は言えないだとか、勘だとか、挙句の果てには俺の言う事は黙って聞けとかばっかりで、納得してもらおうという気がない。
従わされる側筆頭のかすみは根マゾなのでそういうのが嬉しい女ではあるんですが、いや私はムカつくんだよ。

一番引いたのが、身内でワイワイバーベキューしてるところに今まで敵対していた男を「これからは仲間だ」といきなり紹介してきたこと。
は?
いや……二人の間で和解があったのはいいけど経緯を説明してくれないとみんなは受け入れられないでしょ……私も受け入れられないし……
なんでこんな場面でも説明をしたがらないんだよこの男は……

思うにこれこそ蛮悟の異能の弊害だと思うんですよ。
公式サイトを見ると異能と代償なんてそれらしく書かれてるけど、本編でも言及されてたように要は分不相応な能力を手に入れてしまったことによるパーソナリティへの悪影響。
双子なんかわかりやすいですね。テレパシーが通じる二人でずっとやってきたから、通じない他人との距離感が掴めず壊滅的に空気が読めない、みたいな。
蛮悟の場合も、異能のせいで無意識に「正しい意見なんだから受け入れられて当然」みたいな思いがあって、説明も軽んじるようになってしまったのでは。知らんけど。

で、その「正しい意見なんだから」の部分がだんだんうやむやになって「俺の意見なんだから」にすり替わってる節もある。
かすみとまりやを二股にかけてることについて、零士ならわかってくれると思ってるんですよこのバカ。まりやは零士の妹です。
信頼があるとかなんとか言ってるけどどう考えても甘え。だいだい零士の感情が未発達っていうのは蛮悟が一番知ってるはずなのにわかってくれるもクソもなくない?
何股かけようと当人たちが良ければご勝手になんですが、周囲に理解を求めるのはアホですよ。

代償といえば、「抱いた女を愛しく思うのもきっと代償」とか言ってるのには笑ってしまった。
零士のときもそう思ったか?思ってないでしょ?
それは蛮悟がそういう気の多い男だってだけだよ。

反面かすみは圧倒的に好きです。
普段もじゅーぶんおバカかわいいんだけどそれだけじゃなくて。
自分の異能、記憶改竄能力を使って「浮気は男の甲斐性」と自分に言い聞かせすぎるがあまり、「嫉妬しない自分」「嫉妬する自分」で乖離を起こしちゃってるんですよ。
二重人格ってほどじゃないけど、嫉妬しない普段のかすみは嫉妬する自分の存在に気づいてないし、嫉妬するかすみは極力裏に引っ込んでるようにしてる。
気の多い主人公を笑って許さないといけないヒロインの苦悩の塊って感じがすごく良い。都合よくできてるんじゃなくて努力してるんだよなあ。
薬子に啖呵を切るシーンとかぞっとして良かったです。

あとこれはどうでもいいんだけど。
夜の学校駐車場で男性教諭と蛮悟、かすみ、まりやで話し込んでいるところに犯人が襲いかかってくるシーン。
いや、そんな大所帯に一人で突撃してくるバカいる!?しかも学校の敷地内で……
実は三行に収まるくらいの感想はここまで削ってきましたが、これだけはどうしても言いたかった。たまげたなあ。


はい。そんで最後にとっておきました、蛮悟と零士のホモセックスの話です。
なんだかんだ実際にプレイするのは初めてでしたね。そういうシーンのあるエロゲ。
何がいいって零士がちゃんと男の見た目でCVも男でってとこ。ホモセックス有りって言っても男の娘とかCV女性の中世的な顔立ちのキャラ相手が多いもんね。貴重だ。
しかもシーンが三つもある。CGも。ぜ、贅沢~~

零士は「思考過程をすっとばして結論を得る」能力の副作用として、感情というものがわかりません。
このままじゃいけないと思った零士は、蛮悟に協力を求め、心とは何かを勉強していきます。

主に演劇と性行為を通して。

演劇はともかくなんで性行為やねんって感じですが、零士の問題は人間らしい情操が未発達ということでもありまして、彼、欲情できません。
蛮悟からエロ本借りたりいっしょにAV観てみたりするもののうまくいかない。
これは性欲おばけの蛮悟からすると信じられないことで、どうにかしてやりたいと思った蛮悟は実践を通してオナニーを教えてあげることにします。
これが引き金というかなんというか、その後も蛮悟は女装姿の零士に抜いてもらったりしてついには本番までしちゃう。

女装は演劇の関係です。文化祭の演劇で零士がやるのは男の娘ロボットの役。主役です。
下ネタと不謹慎ギャグで本番中は会場がどっかんどっかん沸くんだけど、蛮悟は「この笑いを零士はどこまで理解できるんだろう」と思ってちょっと泣いちゃう。親友想いだな。

その衣装が行為中も活躍するわけです。蛮悟は同性愛者ではないので、やっぱり見た目は大事。
いくらなんでも本番まですることないんじゃないの?って思うんだけど、零士は海外留学しちゃう前に蛮悟に対する自分の気持ちが愛情なのか友情なのか確かめたい。
それまでニアホモ的行為を繰り返してきて(ニアホモというかそのものという気もするけど)、感情に疎い零士はわかんなくなってきちゃったと。
このときのCGがもうめちゃくちゃ良い。こればっかりは実際に見てほしい。
脱ぎ捨てられた零士の手袋と恋人つなぎした左手と部屋に差し込む月明かりとか……首筋に噛みつく蛮悟の野性とか……。あとハート目がかわいすぎる。
暗い室内でっていうの、あんまりないんですよ。ヒロインとのシーンは明るい部屋がほとんどだし。
蛮悟がいろんな女の子とヤってるのはみんな知ってることだけど、零士ともヤったっていうのは当人たちしか知らない。
秘密の関係なんだよ………

で、行為の果てに零士が出した結論は「友情」。相当気持ちよさそうだったけどそれは別として。
結局は「お互いのためなら身体を重ねることもできる」レベルの「親友」だったということみたいです。
今回のは零士の悩みと蛮悟の性欲がうまくかみ合ってしまった結果というか。
能力とハンデという人には言えない事情持ち同士、お互いがお互いの力になりたいと思っていて、そのせいでどっちもノンケなのに一線を越えてしまう。
この二人だからこその関係がめちゃくちゃ良い。愛情にオチなかったのも最高。
最初と最後の行為にはお酒が入ってるってのがまたいいですね。
無駄にお酒を煽って無駄に明るく振る舞って、勢いで済ましちゃおうみたいな。

DLCで追加のホモセ欲しくもあるんですが(強欲)、二人の関係はきれいに片が付いてしまったしこれ以上は蛇足にしかならないなあという気もする。
前半でハチャメチャdisってきましたが、二人の関係については良かったとしか言えねえ。性癖刺激されたオタクなんてこんなもんだよ。


とまあ良いとこ悪いとこ両極端なゲームでした。
もっとすっぱりさっぱり短くまとめたかったのにぐだぐだしてしまった。
エピソード単体で見るとおもしろいのもけっこうあるんですが、それでプラマイどうなるの?プラスになるの?と言われると難しいので、よっぽど刺さる要素がある人は買ってもいいんじゃないかなあ…くらいです。私とか。

長文7兆年ぶりに書いたのでクソ読みづらかったとは思いますが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。マジマジ。